ゆず



「財布は小さい方がいいな」



憧れの先輩の言葉に驚いた。



いつもかばんの8割を占領している、

カードをパンパンにつめた

自分の長財布を思い浮かべて



「物が入らなくないですか?」

と聞いてみる。




「最低限のものだけあればいいかなって」


見せてもらった財布は本当に小さくて

そのままお会計に立ち上がった先輩は

身ひとつに見えた。




なんだか

その先輩の軽やかさの秘密が

分かった気がした。





その日から

次の財布は小さいもの、と決めていた。






12年ぶりの財布新調!



高校入学のお祝いに母が買ってくれた財布は

革でできていた。






「使うほど味がでるよ」

の言葉を信じて

古くなっても使い続けた。

1度も変えたいと思わなかった。



革が好き、の気持ちの原点。





ここからの10年、どうぞよろしく。



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