レザークラフトと音楽(後編)

大矢さん
インタビュー:すず


今いちばん楽しいことは
レザークラフトとバンドなどの音楽活動
という大矢さん。
(詳しくは前半をどうぞ!)


後半では
その魅力と出会い、これからやりたいことについて話していただきました。




––––作れる物っていろいろあるけど、革っていう理由はあるんですか?


ここ(革教室)に来る前に陶器粘土でブローチとか作ってみたりもしてたんですけど、
作っても自分で使わんし、人にあげるにしても重かったりする。アクセサリーって自分の趣味で買うわけやし。
なんかいいのないかなーって探してて。
 
梅田にゆう工房、Cafe ゆうっていう
一階がカフェになってて、二階で陶芸とかの体験教室をやってる店があって。




友達とそこの陶芸教室に行ったんですけど
レザークラフト教室もやっていて。

レザークラフトって個人でどこまでできるんかなあと思って本読んでみて
「財布とかまで作れるんやあ、一回やってみよう」と思ってやったらハマった。

やるうちに一人でやるのは無理だぁと
限界を感じて、その本のラスボスで載っていた次郎さん(革教室の先生)のところに駆け込み、運命の出会いを果たすというドラマチックな展開。(笑)
 
革は作ったら作っただけ自分もうまくなっていくのが分かるから、やって終わりじゃないところも魅力ですね。


––––そうですよね!音楽はどうですか?

 
音楽に関しては本当に、自己表現とか壮大なことは全くなく、ただ音を鳴らすのが楽しいから。

▲愛用のギター



––––そうなんですね、何か残したいって感じじゃないんですか?


できるならやってみたいですけど、そこまで深い人生を送ってきてないんで。

自分は考え方は割としっかりもってると思うんですけど、詩的なエモーショナルな部分には欠けるかなっていう分析をしてて。
もうそういう分析してる時点で頭固い。(笑)

だから歌詞書いてても、
「あれ、これここの一言ぬいたら意味分からんくなるんちゃうかな」とか、考えすぎて
すげー説明的な文章になったりする。

そういう表現は自分には向いてないのかなって思う。



 ––––音楽との出会いはいつ?


歌は昔から好きでした。
キリスト系の幼稚園だったんですけど、キャロリングっていうクリスマスの日に家々を回って聖歌を歌うとか、音楽の時間がけっこうあるんですよ。
歌っててなんか褒めてもらえるようになって歌うまいんかなあって。
 
小学校3年生のとき、全校のテレビ放送でカラオケをやろうって企画を昼休みにやってて。
出てみたらすごいウケがよくて。

終わって放送室出ようとしたら
友達が何人かダーって来てくれて
「お前すごかったぞ!」
って言ってくれて、すげー嬉しくて。

あぁなんか自信もったぞ、みたいな。
そんなに普段仲良くしてない子も話しかけてくれて、音楽いいなあと思って。
 
小学校5年生のとき市の音楽会でソロを歌ったりとか、何回か人前で歌いました。
 

––––すごいな才能が・・・


その音楽会も、ある保護者から「なんであの子ばっかり目立つことやらせて」みたいなことを先生が言われたらしく、一回オーディションで落とされたんですね。

選ばれた子が練習のとき一人で体育館で歌ってて、先生が一番後ろで聞いてたんですよ。腕くんで。

そしたら「ちょっと大矢、あいつと一緒に歌えるか」って言って、二人で並んで歌ったら「これでいこう」と。
その日、先生が親と話すために家まで来てくれました。

その経験けっこう大きかったですね。
歌で人から求められることがあるんだ、
って。

音楽会本番で歌って
市の中学校の合唱部の先生から「絶対うち入って」って言ってもらったんですけど。
 

––––神童じゃないですか。


中学校受験してたんで、そこにも行けず
残念やなぁみたいな。

中学、高校は音楽系の部活がなくて。
スポーツやらなあかんみたいな感じで
音楽から離れたけど、
やっぱり音楽やりたいと思って。
 
で、もう大学で青春を取り戻そうって。
「馬鹿にされてもいいから音楽をやりたい」って言って良いサークルが見つかったわけですよ。

4年間はほんまにストイックにやりました。
楽しかったですね。親にもサポートしてもらいました。

▲卒業ライブの写真


音楽も知れば知るほど奥が深くて。
最近クイーンにハマって、アナログレコード買いました。Don’t stop me nowくらいしか歌えないですけど。



––––英語?!


ボイトレでやるんですよ。



––––ボイトレってどんなことをするんですか?歌うまくなります?


やっぱり歌う機会を作らないとどんどん下手になる。
声の出し方が全然分からなくなる。
僕だけかもしれないけど。

声にもいろんな種類があって。ミックスボイス、チェストボイス、ミドルボイスとか。

天然でミックスボイスっていう裏声と表の声を混ぜたような声で喋っている人も中にはいて、そういう人は歌うまいんですよね。

自分が喋ってるときはどういう声の出し方してるのかなぁって考えたりとかします。

自分は緊張するほど喉が締まって、声が小さくなって怒られるって特徴あるなぁとか。(笑)



––––すごい、何にも考えたことない。歌うまくなりたい。


あくびするときみたいな、喉の奥拡がった状態が歌うのには一番適した状態らしいですよ。その状態で、のどぼとけを下げて歌う。

今は無意識でできるけど、意識して動かす練習をしました。

喉をしめるのと声帯をしめるのはまた違うらしくて。フレディマーキュリーとか、高い音でキンキンした声を出すときあるじゃないですか。
ああいうロックな声って声帯をグッと締めているんです。



いろんなこと知れば知るほど日常が面白くなる。



––––それだけやりたいことがあると忙しくないですか?どう時間をつくってるんですか?

 
睡眠時間削ってるんですかね?
寝る前にギターやろうと思って一人でライブしてて気づくと3時や!ってなる。
ワンマンライブが5曲目くらいになって「みんなありがとう!」って寝る(笑)

あとは大学生の時間がある時にやってたのがよかったですね。
最初は譜面を読むのも大変じゃないですか。積み重ねのおかげでちょっと時間短縮してできるようになったんかな。

時間が使えるときにノウハウを積んでおいて、時間がないときに短時間でできることをする。

時間を作るというよりかは、無い時間の中でできることをやっています。
 


––––勉強になるなぁ。
では最後に、これからやりたいことを教えてください。


音楽で言ったらバンドをちゃんとやりたいなと思います。
できれば何かしら形で残したいですよね。

形にして、歳いってじいちゃんになっても
孫に見したりしたい。

バンドなんてやるのはちょっと特殊な人だ
みたいな人もいるけど、
もし子どもとかできたら
「何でもお前にはできるんやぞ」
って言ってあげたい。
それをやっぱり形に残して、見せて伝えてあげたい。自己顕示欲もあるし。(笑)

友だちの書く歌詞がよくて、そいつの歌詞を世に出したいっていうのもあります。
この間もその友達と札幌で中古のギター買って、美瑛の家で星見ながら弾こうって旅行に行ったんです。
ずっと子ども心を忘れずにいたいなって思います。
 
いい意味で子どもっぽい大人って最近多いし。平均寿命が延びて子どもでいる時期が長いんかもしれないですけど。



▲革小物製作中の作業風景


革に関しては、
今は友達に買ってもらったりとか
あげたりとかで喜んでもらってますけど、
やっぱり友達が作ってくれたもんやから嬉しいみたいなのもあると思うんですよね。

それを抜きにして、完全に知らん人が見ても嬉しいっていう声をもらえるようにまずはなりたい。

ちょっとミーハーな感じですけど、ロゴ作って自分の作品に押して、とかやってみたいですね。

今は次郎さんのもとで教えてもらってやっているけど、「自分の作品だ、一人で作った」って自信をもって言えるようになりたい。

今この環境がなくなったらはたして出来るのかって思うから、なるべく家ですべて遮断した状態でやっています。
 
▲革を薄くする漉き機も自宅に


売るとか買ってもらうっていうのは
あくまで結果であって、
実力が伴った結果そういう風に扱ってもらえるっていうことだと思うので。
まずは自分で自信もって「僕の作品です」って言えるものを作れるようになりたい。
 

仕事でも展示の紙とか作るんですけど、デザイナーのための色の本とか読んでみて、それが革の方でも活かされる。
こじつけてでも楽しい方にやっていかないとと考えてやっております。
 
 

・・・・・


大矢さんと話していて感じたのは
日々を楽しんでいる人は
どんなことからでも何かを得ているんだ
ということ。

私なら
うまくいかない!失敗した!嫌!
できなかったー!!!
と落ち込んで終わってしまうことを

合わないことを学んだ、
できなかった理由を見つけた、
と全部自分に還元している。

どんな状況や経験も無駄にせず
ポジティブに捉えて、本当に
「こじつけてでも楽しい方に」
進んでいるのだと思いました。

そうして見つけていったからこそ
楽しいことをしているとき
心底夢中になれて、
周りから見ても輝いているんだろうな。

これから先も、
良いも悪いも取り込んで
大矢さんが生み出していく作品から
目を離せそうにありません!


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